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食の知識

トクホって何? 健康食品・特保・機能性食品の違い

よく、目や耳にする事の多い「健康食品」や「トクホ」・「機能性食品」。でも、そもそも健康食品て何だろう?
トクホと機能性表示食品て、どう違うの?

皆さんは、そう思った事ありませんか?
そこで、その疑問を解決すべく、夜の街に繰り出しました。

【 この記事の目次 】
  1. トクホって何だろう?
  2. トクホの認可と表示
  3. 同じシリーズなのにトクホだったり違ったり
  4. 実はいろいろあるトクホ
  5. トクホの安全性担保
  6. 栄養機能食品とトクホの違い
  7. 機能性表示食品とトクホの違い

『トクホ』って何だろう?

そもそも、口に入るものは全て『薬』か『食品』だって知ってましたか?

まず、健康食品とは?

「健康食品」とは、単純に考えれば、健康維持や増進に効果効能をもたらす食品という事になるのでしょう。つまり、野菜や魚などは最たる健康食品です。でも、トクホマークを付けた大根やマグロなんて見たことないですよねぇ。

そこで、行きつけの焼き鳥屋で上機嫌になっていた知り合いのドクターを捕まえ、
“健康食品て何? トクホと機能性食品の違いって?”
と質問したところ、
“う~ん、俺もよく分からん!”
という答え。確かにそんなものなのかも知れません。医者の不養生とはよく言ったものです。

で、後日改めて、これまた居酒屋で飲んだくれている管理栄養士の友人を直撃。こちらもなんとかの不養生かと心配しましたが、流石、懇切丁寧に教えてくれました。

口に入るものは全て「薬品」or「食品」

私たちの口に入るものは基本的に、厚生労働省内にある「医薬食品局」で監督されているのだそうです。そのため、大きく分けて2つ、『医薬品』か『食品』かという事になります。はやい話、薬か薬でないかという事で、健康食品が薬でない事は容易に判断できます。

ちなみに、薬品は通称“医薬品医療機器等法”こと「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって定められるもので、医薬品・医薬部外品・医療機器・再生医療機器、それに化粧品などが該当します。余談ですが、私たちになじみ深い「薬事法」は今はなく、全てこの長ったらしい名前の法律で管理されているのだとか・・・。

一方、食品は「食品衛生法」という法律で分類され、医薬食品局内の「食品安全部」で監督されています。肉も魚も野菜も、豆腐も卵も牛乳も、チョコレートもコーヒーも、ついでにビールや日本酒もです。

ただ、あまりにも多種多様で、加工する事によって人体への影響が大きく変わるものが圧倒的多数。そうなると、物は言い様とばかりに、健康増進効果を過大広告する業者や過大評価する消費者が出かねません。そこで、これではいつか大変な事になると思った国は当時の文部省、今の文部科学省に依頼し、食品の持つ三次機能についての研究「食品機能の系統的解析と展開」を開始しました。

食品の機能とトクホの誕生

食品には、私たち人間の体を作る、食べる喜びを与える、日々の生活を円滑にするなど、様々な機能があります。中でも最も重要なのが血や骨や肉を作ったり、エネルギーになったりという生命維持のための働き。そこで、この機能を「食品の一次機能」としています。二次機能は味覚や香り、食間といった食事を楽しむための感覚機能です。

しかし、この2つとは別に、骨を丈夫にするとか、腸の働きを促すというような「体調調節機能」を兼ね備えた食品も沢山あります。実は、こうしたものが「食品の三次機能」で、最も曖昧なんですよねぇ!?

参考食品の機能性 – 農林水産省(PDFファイルが開きます)

「トクホ」の誕生!

実際問題、ヨーグルトなら何でもかんでもが便秘改善効果を持っているのかと言えば、そうではありません。腸の働きを促すのは乳酸菌であって、一定量の乳酸菌が腸に入り混んでこそ、恩恵を被れる訳です。ところが、スタミナ不足の乳酸菌は胃酸の攻撃に太刀打ち出来ず、ノックアウト! 腸に侵入して環境を整備出来るのは胃酸に勝てる強固な乳酸菌だけなのです。

しかし、そんな有料な乳酸菌を含有しているヨーグルトは、そう多くはありません。にも拘わらず、全てのヨーグルトが便秘改善効果を持っていると主張されては、優秀なヨーグルトを作っている会社はたまったものではないでしょう。そして、それを鵜呑みにした消費者は、無駄なショッピングをしてしまいます。

という事で、1984年から約3年間にわたる研究の結果、確かに体調調節機能を持つ食品は多数あるものの、そうでない類似品も多いという事が明らかになりました。こうして機能性食品の概念が確立されたのです。そうして1991年、ついに新たな食品のジャンルが登場しました。それが『特定保健用食品』。そう、『トクホ』です。略して「特保」と表記される事もあります。

トクホこと『特定保健用食品』とは?

『特定保健用食品』は、健康の維持や増進に一役買う可能性が高い事が科学的根拠によって明確にされている食品です。そのため、その許可基準は食品衛生法ではなく、「健康増進法」に基づいて策定されています。そして、その審査に全て合格し、消費者庁の認可を受けて、ようやく表示出来るのが「トクホ」マーク。つまり、トクホマークの付いた食品は、国家が健康効果を認めた食品という事で、世界でもまれに見る誇り高き食品だと言えるでしょう。

気になるトクホ第1号は?

日本に特定保健用食品という食品ジャンルが設置されたのは1991年(平成3年)です。ただし、初めての特定保健用食品が誕生したのは、2年後の1993年になります。ちなみに、トクホ第1号はお米アレルギーの人の為のお米、資生堂の「ファインライス」と、森永乳業の子会社「クリニコ」が出す腎臓病と戦う人のための「低リンミルクL.P.K」でした。

しかし、トクホマークの付いた品はどれも恐ろしいほどの時間とお金を掛けて開発されたもので、施行から四半世紀以上たった2017年12月末時点でも、僅か1,079点しかありません。しかも、2017年10月末時点では1,086点でしたから、約2ヶ月で7点も減っているではありませんか!!ただ、これについては、許可が取り消されたものもありますが、メーカーの医師や都合により、商品が製造中止になったものも含まれます。実際、先のファインライスは、今や幻のお米です。

トクホにはどんな食品があるの?

こうして日本のトクホ製品は、毎年少しずつ増減を繰り返しながら2012年、20年掛けてようやく1,000点の大台に乗りました。ならば、今、日本にはどのようなトクホ製品が存在するのでしょうか?

例えば、“おなかの調子を整える”と謳っているものとしては、乳酸菌やオリゴ糖、そして食物繊維類を含む食品などがあります。乳酸菌飲料の先駆けのような「ヤクルト」や食物繊維豊富なシリアルとして知られるケロッグの「オールブラン」、塩水港精糖株式会社のだす「オリゴのおかげ」などはよく知られたところでしょう。

また、血圧の高めの方におすすめされるのが「ペプチド」という事で、「ラクトトリペプチド」配合のカルピス「アミールS」。体脂肪が気になる人におすすめされるのが、茶カテキンの脂肪消費効果に着目した花王の「ヘルシア緑茶」。その他、虫歯になりにくいと言われる甘味料「キシリトール」を使ったロッテのチューインガムなどがあります。

参考許可一覧表 – 消費者庁(エクセルファイルが開きます)

『特定保健用食品』の特徴は? 『トクホ』の認可と表示

『特定保健用食品』は、国が責任を持って送り出す健康食品であると言っていいでしょう。そのため、表示や認定には様々な規定と基準を設けています。それこそがトクホの特徴だと言えそうです。

『特定保健用食品』の表示と特徴

『特定保健用食品』の最大の特徴、それは何と言っても、効果効能や用途を明確に記述出来る事です。これにより、どんな悩みを持つ人が摂取すると、どのような効果を得られるのかが一目瞭然。当然ですが、健康面での悩み多き人が急増している日本においては、宣伝効果絶大であると言えるでしょう。だからこそ、時間とお金を掛けてもトクホ認定を取得しようとする企業が後を絶たない訳です。

トクホの認定を受けると、こんな表示が出来ます

『トクホ』の認定を受けると、どんな表示が可能になるのかと言うと、例えば、

  • 乳酸菌飲料やオリゴ糖含有食品なら、“おなかの調子を整える食品”
  • イソマルツロースやキシリトール配合なら、“虫歯になりにくい食品”や“歯を健康にする食品”
  • 大豆イソフラボン配合なら、“カルシウムの吸収を助ける食品”や“骨の健康が気になる方の食品”
  • ラクトトリペプチドや大豆たんぱく質配合なら、“血圧が高めの方の食品”
  • ジアシルグリセロール配合なら、“中性脂肪が気になる方の食品”

などなど。

しかも、実際にはもっと詳しく表示する事が出来ます。逆に言うと、トクホの認定を受けなければ、こうした表示は出来ないという事です。

『トクホ』の認定を受けても、こんな表示は出来ません

『トクホ』の認定を受けると、宣伝効果絶大の実に魅力的な表示が出来るようになります。とは言え、トクホはあくまでも食品であって医薬品ではありません。そのため、「高血圧症」や「高コレステロール致傷」といった疾患名を盛り込む事は厳禁です

また、治療効果や予防効果をはっきりと謳うような表現も禁止されています。つまり、“血圧の高めの方に”という表記はOKでも、“血圧を下げる”という表記はNGなのです。

『トクホ』の認定を受けると、こんな表記が必須となります

『トクホ』は薬ではないとは言え、人体に多大なる影響を与える可能性は低くありません。だからこそ、健康維持や増進効果が期待出来る訳ですが、用量や用法を誤ると、副作用にも似た症状が出ないとも限っていないでしょう。そこで、

  • 多量に摂取する事によって効果が増進するものではありません。
  • 体質あるいは体調によって、おなかがゆるくなることがあります。
  • 医師・薬剤師・栄養士などの指導を得て摂取する事が効果的です。
  • 開封後はお早めにお召し上がりください。
  • 1日1本を目安にお飲みください。

など、注意事項や摂取方法、1日あたりの摂取量の目安を明記する事も義務付けられています。

加えてもう一つ、たとえ国の認める健康食品であっても、所詮は日々の食生活の補助的存在です。その事を明確にし、過度の期待を阻止し、バランスの取れた食事を促すのもトクホの大切な役目。という事で、

  • 食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。

と記載する事とされているのです。

『トクホ』の表示はこんな感じになります

最もアピールしたい効果効能がアピール出来る反面、表記出来ない事や表記しなければならない事も沢山あるのが『トクホ』です。

という事で、「オリゴのおかげ」の場合だと

関与する成分
乳果オリゴ糖
表示許可を受けた効果効能
乳果オリゴ糖を主成分とし、腸内のビフィズス菌を適正に増やして、おなかの調子を良好に保つ食品です。
注意事項
食べ過ぎあるいは体質、体調によりおなかがゆるくなることがあります。
摂取量・摂取方法
1日あたり8~20g(スプーン2~5杯程度)が目安です。

という表示がパッケージにあります。

これらプラス、栄養成分量と熱量、原材料名、内容量、それに、『トクホ』のマークが付いた飲食品、それが特定保健用食品です。

『特定保健用食品』の認定を受けるには?

特定保健用食品のマークと言えば、誰かさんが一生懸命両手を上げて背伸びをしているように見えますが、実際、トクホ認定を受けるには、大企業でも並大抵の事ではなく、中小企業になると、もうそれは目一杯背伸びした一品という事になるでしょう。なぜなら、国が定めるトクホ取得のための審査は、医薬品の認定を受けるのと負けず劣らずの長く険しい道のりだからです。流石は厚生労働省の管轄、多数の動物実験・試験管実験、そして、人間様実験と論文作成が義務付けられています。

『トクホ』の認定を受けるには、どのくらいのお金が掛かるの?

ではでは、トクホの認定を受けるには、どのような審査をパスしなければならないのでしょうか?

例えば動物実験では、最初に段階的に摂取量を増減し、急性毒性を判定するとともに、安全確保のための摂取規定量を推定しなければなりません。その上で、それを3ヶ月間継続し、慢性の毒性がない事を証明する事も必須です。その結果、全て問題なしとなれば、いよいよ人間様でお試し。

人実験では、動物実験と同じように、容量や急性毒性・慢性毒性が臨床される訳ですが、ここでは最終的に規定の摂取量を定める事も重要な目的の一つです。そのためには、

  • どのくらいの期間、どのくらいの量を摂取すれば、どんな変化が見られるのか?
  • どのくらいの期間、どのくらいの量を摂取すれば、効果が作用するのか?
  • どのくらいまでの摂取量なら安全性が保てるのか?
  • もし、過剰摂取した時にどうなるか? 危険性はないのか?

を全て摂取容量や期間ごとに明らかにする必要があって、当然ですが、その効果効能を求める人の協力が必要不可欠となります。しかも、一人二人がいいと言ったからといって、はいそうですかとはならず、最低でも何十人かが効果を表さなければ認可はおりません。さらに、安全性の臨床については、100例前後必要になります。

加えて、動物実験をしている間に、別のところでは、試験管内で対象の成分を培養させ、

  • 薬理学的にどのような工程を持って効果効能をもたらせるのか?
  • 安全性がどのような原理で確保されるのか?

を調べる事も大事です。

こうした実験全てを実施し、クリアするまでには、8,000万円から1億円の費用が掛かると言われています。

『トクホ』の認定を受けるには、どのくらいの時間が掛かるの?

トクホの認定を受けるには、かなりのお金と時間が掛かる事は、必要とされる実験だけでもよく分かります。しかし、これだけの手間とお金を掛けてデータを揃えても、それをすぐに審査期間である消費者庁に出せる訳ではない。実は、これがトクホ取得における最大のネックとも言えるでしょう。

なんと、全データを論文にまとめ上げ、学会の機関誌や専門誌に掲載されなければならないのです。それも、専門化たちの審査必須の雑誌でなければならないという規定があって、応募してから早くても数ヶ月、長ければ数年の年月を有します。

つまり、実験に最低でも1年程度、論文が有審査雑誌に掲載され、消費者庁に申請するまでに最低でも1年程度掛かる訳ですから、相当の時間的余裕と経済的余裕がなければトクホ認定は受けられないという事なのです。どうしても大手メーカーの製品ばかりが特定保健用食品になってしまうという部分は否めないでしょう。ですが、本音を言うと、大手だって楽な事ではないようです。その辺りは次のページで・・・。

同じシリーズなのに『トクホ』マークがあったりなかったり、『特定保健用食品』の謎

トクホマークのついた『特定保健用食品』、それは国が認めた健康の維持や増進に一役買ってくれる食品という事になります。しかし、よく見ると、同じ種類のヨーグルトでも、片やトクホマークあり、片やトクホマークなしというものがあるではありませんか!! これって一体全体どういう事なの?

同じシリーズなのに、片やトクホ、片やトクホじゃないのはなぜ?

スーパーやコンビニの乳製品売り場に行けば必ずと言っていいほどお目に掛かる明治の「ブルガリアヨーグルト」。
味もバラエティーなら容量も形態もバラエティー溢れる商品ラインナップです。そこで、最もオーソドックスなプラスチック容器に入った「明治ブルガリアヨーグルトLB81 プレーン」を手に取ると、ありますあります「トクホマーク」!! さらに、明治ブルガリアヨーグルトLB81 プレーン」のドリンクタイプでも、やっぱりトクホマークは付いています。後、同じく飲むヨーグルトのカルシウム入りタイプ「明治ブルガリアCa飲むヨーグルト」にもです。

あれっ、トクホのはずのヨーグルトに『トクホ』マークがない!

明治のブルガリア飲むヨーグルトは、2009年に間違いなく特定保健用食品の認定を受けています。ですから、『トクホ』マークがあって当然なのですが、鉄分入りやビタミンE入りのドリンクヨーグルトには、そのトクホマークが付いていません。また、2012年に認定を受けているはずのカップ入りタイプでも、脂肪0や低糖タイプにはトクホマークが見当たらないではありませんか!! となると、これらに整腸効果は期待出来ないという事なのでしょうか?

しかし、ブルガリアヨーグルトがトクホ認定を取得している成分は「LB81乳酸菌」という明治が独自に開発した乳酸菌です。当然、全てのブルガリアヨーグルトの主成分。なのに、片やトクホで、片やトクホじゃないというのは不思議です。

ところが、友人の管理栄養士に尋ねてみると、
“それはトクホ認定を受けていないからだよ。”
という当たり前の答えが返って来ました。でも、同じ乳酸菌を使ったシリーズ商品なのに、認定を受けているものと受けていないものがあるなんて事があっていいのでしょうか?

有効成分は同じでも商品が変わればトクホじゃなくなる

そもそも私が今回、トクホに興味を持った理由の一つが、この違い、同じシリーズのヨーグルトなのに、トクホマークのあるものとないものとがあるという点でした。ところがところが、この謎について管理栄養士の友人に聞いてビックリ!

なんと、このトクホ認定、たとえ有効成分は同じであっても、商品が変われば無効になると言うではありませんか!! 当然ですが、脂肪0や鉄分入りとなると、原材料や製法に違いが出ます。それをトクホにするためには、改めて申請し、認定を受けなければならないと言うのです。

ドリンクタイプの飲むヨーグルトになればなおさらの事。さらに、その飲むヨーグルトにカルシウムを入れれば、これまた明らかに別物です。そのため、明治では、「ブルガリア飲むヨーグルトLB81 プレーン」と、カルシウム配合の「ブルガリアCa飲むヨーグルト」、それに、食べるタイプの「ブルガリアヨーグルトLB81 プレーン」の3つの製品をそれぞれ個別に申請し、それぞれ個別にトクホ取得しているのだそうです。

しかし、現在ブルガリアヨーグルトにはこの他、鉄分配合やビタミン配合、そして脂肪0など、30種類近い製品がラインナップされています。これら全てについて認定を受けるのは、いくら大企業でも大変です。そこで、看板商品のみをトクホとし、後はそれに準じるものと認識してもらえればという訳です。

実際、有効成分に大差がない以上、その効果効能には大差ないものと見られます。とは言え、それを明記出来ないのがトクホでない製品の辛いところだと言えるでしょう。

『審査が簡易な『規格基準型特定保健用食品(規格基準型特保)』なんていうのも

なるほど、同じシリーズのヨーグルトでも、トクホとトクホじゃないものがある理由は分かりました。でも、どう考えても、同じ乳酸菌なのに、改めて効果や安全性を臨床実験で実証しなければならないなんて、何だか馬鹿げた話だと思いませんか?

有効成分の実験不要で『トクホ』を名乗れる事もある!

確かに、他の原材料や製法、形状などが変われば様々な点で変化は出るでしょう。でも、それならそれで、その製品化したものの安全性や用量用法のみを検討すればいいんじゃないかと思うんですけどねぇ、どうなんでしょう?

と、我ながらいいところに目を付けたものだと思ったのですが、
“そんなの、もう国はとっくに考えてるよ。”
と、ベテラン管理栄養士が一言。なんと、もうこれまでに十二分に安全性と効果が実証されている成分については、審査不要で『規格基準型特定保健用食品』、通称“規格基準型特保”というトクホを名乗れるというのです。

ただし、摂取容量や用法に対する安全性を確認するための人間様実験は免れません。特に、最大3倍の過剰摂取をした場合に、血圧上昇や不整脈などの人体への影響がないかどうかというような臨床は必要不可欠です。また、指定の成分でなければならず、その使用量や使用方法も細かく規定されています。

とは言え、それでも、成分そのものの動物実験や試験管実験が不要になれば、時間も大幅に短縮出来ますし、何より、費用が極端に抑えられるでしょう。実際、UCCの出しているオリゴ糖入りアイスコーヒーや名糖の出している食物繊維入りレモンティーなどは、この規格基準型特保です。そう、これなら、自社で従来出していた製品にその成分を配合する事によってトクホ化する事が比較的簡単に出来るのです。

規格基準型特保を名乗るには?

ならば、規格基準型特保の指定成分にはどのようなものがあるのかと言うと、複数の企業がトクホを取得していて、すでに100件以上のトクホ製品があって、最初の許可から6年以上健康被害の出ていない成分。そうなると、ブルガリアヨーグルトの乳酸菌などは独自開発で、だからこそ価値が高いのですが、明らかに不利です。6年以上被害がない点は満たせても、他の2つの条件は満たせませんから、結局は改めて一から審査を受けなければならないという訳です。

実は、流石にトクホです。よくよく見ると、殆どが明治のブルガリアヨーグルト状態で、やはりそう簡単に認可が取れないようになっています。今のところ、この方法でトクホを取得するには、食物繊維の「難消化性デキストリン」か「オリゴ糖」を使い、おなかの調子を整える作用を持つ事を訴えるしかないでしょう。先のUCCや名糖産業のようにです。

という事で、以前ご紹介した特定保健用食品許可一覧表(エクセルファイル)を見ると、難消化性デキストリンやオリゴ糖を主成分とした飲食物がやたらめったら目立ちます。そして、その多くが規格基準型特保です。

『特定保健用食品』の条件いろいろ、実は『トクホ』にもいろいろあります

私たち消費者は、特定保健用食品』はどれもみんな同じ。独自の有効成分を持ち、厳しい審査を通過しているものばかりだと思いがちですが、実際にはその限りではありません。先にご紹介した規格基準型のように、トクホにはいくつかの種類があります。

『疾病リスク低減表示特定保健用食品(疾病リスク低減表示トクホ)』なんていうのも

トクホはトクホでも、「規格基準型特保」になると、その認可取得が一気に楽になります。そのため、許可一覧表 – 消費者庁(エクセルファイル)を見ても、難消化性デキストリンやオリゴ糖を使った規格基準型の多い事多いこと。ですが、それに負けず劣らずの数を誇っているのが「カルシウム」で、そんなカルシウム配合製品の多くに『疾病リスク低減表示特定保健用食品』という表示が付いています。これもまた、どうやら一般的なトクホ製品とは違うようです。

『疾病リスク低減表示特定保健用食品(疾病リスク低減表示特保)』とは?

以前に学んだように、トクホは食品であって薬ではありません。そのため、元元病気の治療や予防を目的として摂取するものではない訳ですが、カルシウムが不足すれば骨が弱くなり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが高まる事はよく知られた話です。となると、カルシウムの多く含まれた食品を摂取する事は、それを回避するための手段の一つだと言えるでしょう。

そこで、このようにある程度病気の予防がかなりの高確率で出来る事が科学的根拠に基づいて実証されている有効成分を配合した食品については、それを明記してもいいというルールが設けられています。それがトクホの『疾病リスク低減表示』です。

ただし、こちらも先の規格基準型と同様、指定成分や規定量などが細かく定められていて、製品そのものの安全性や用量用法に関する臨床結果等は必要不可欠になります。また、この表示を添付する以上、他の有効成分を謳う事は出来ず、『疾病リスク低減表示特定保健用食品(疾病リスク低減表示特保)』という位置付けでの販売となります。

疾病リスク低減表示特保の有効成分はたった2つ

確かに、骨粗鬆症のリスクを低減するカルシウムや、貧血予防に一役買ってくれる鉄分のように、誰もが知る疾病に対する有効成分を持つ栄養素はあれこれあります。しかし、現在認められている疾病リスク低減表示特保の指定成分は、「カルシウム」と「葉酸」のたった2種類です。

カルシウムは骨粗鬆症の予防に、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)の予防に効果を発揮する成分として使用する事が出来ます。ただし、表示としては、
“骨の健康を保ち、骨粗鬆症のリスクを軽減する食品”
“胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを軽減する食品”
といったように、「予防」や「防止」という言葉は厳禁。実際問題、確実に病気を防ぐ事など、どんな優秀な薬や食品でも不可能な訳ですから、当然と言えば当然の事でしょう。

そこで、現在市販されている疾病リスク低減表示特保の一つ雪印乳業の粉末乳飲料「カルシウム強化スキム」などは、
“この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。”
という軽めの文言にしています。

端から条件付きの『条件付き特定保健用食品(条件付き特保)』なんていうのも

流石に『特定保健用食品』、やはり様々な条件があります。そして、その条件によって審査基準が異なり、トクホとしての位置付けも違って来る訳です。中には、端から条件付き特保と表示されているものまであると言うからビックリでしょう。

『条件付き特定保健用食品(条件付き特保)』とは?

中国4000年の歴史が誇る「漢方薬」は、その殆どが明確な科学的根拠を持ちません。それが西洋薬との最大の違いであると言っていいでしょう。とは言え、実際には、沢山の人が恩恵を被り、病気の改善や予防に成功したという実感を持っています。そう、どこかしら、健康食品と似ているのです。

そこで、健康食品にもそういう見解があってもいいじゃないかという事で、2005年から新たに設置されたのが『条件付き特定保健用食品』、通称“条件付き特保”というジャンル。ここでは、対象の成分について、科学的根拠が国の定めるレベルにまでは達してなくても、一定の有効性が明らかに認められるものであれば、その旨を明記する事によってトクホと認めようという柔軟性があります。

例えば、正規のトクホとしての試験は残念ながら滑った物の、実に良質な乳酸菌を使っていて、100人いれば、半分の50人くらいは整腸作用が実感出来るのではないかと思われるヨーグルトが申請された場合、
“本品は特殊な乳酸菌が含有されており、一定基準の科学的根拠は確立されていませんが、おなかの調子を整える効果がある可能性のある食品です。”
と、条件の付いた限定的な科学的根拠であることを明記する事で特定保健用食品として販売する事が許可されるのです。

条件付き特保にはどんなものがあるの?

条件付き特保は、まさしく漢方やサプリメントの感覚に近いと言えるでしょう。ただし、トクホである以上、まずは腸内環境を整えたいとか、骨を丈夫にしたいとか、中性脂肪を減らしたいといった特定の保健目的に特化した食品でなければなりません。ちなみに、条件付き特保第1号は、日本サプリメントがリリースした今は亡き豆鼓エキス配合の中性脂肪が高めの人のためのサプリ「TGバランスつぶタイプ」でした。

しかし、この条件付き特保は、何しろ効果があるかもの世界ですから、やはり審査が複雑で、正規のトクホ以上に難しい事は容易に想像出来ます。実際、施行から10年以上たった今でも、この条件付き特定保健用食品として認可されたのは2点だけ。さらに、販売されているのは、山本漢方製薬の「大麦若葉粉末」だけです。この製品は、良質の食物繊維を含む大麦若葉を主成分とした粉末飲料で、パッケージには、
“大麦若葉由来の食物繊維を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、お腹の調子を穏やかに保ちたい方やお通じの気になる方に適している可能性がある食品です。”
と表記されています。

参考特定保健用食品 – 消費者庁(PDFファイルが開きます)

『特定保健用食品』の安全性の担保はどうなってるの? 『トクホ』の取り消しや再許可はあるの?

確かに『特定保健用食品』の認可を受けるには、厳しい審査を突破しなければならない訳で、それなりに信頼出来る食品だと見ていいでしょう。とは言え、その信頼がいつまで担保されるのかが問題です。実際、トクホの一覧には、「再許可等特保」などという怪しげな表示もありますし、トクホの再チェックや取り消しなどがあるのかないのかも気になるところではないでしょうか?

『再許可等特定保健用食品(再許可等特保)』なんていうのも

規格基準型特保・疾病リスク低減表示特保・条件付き特保は、いずれも2005年に設立されました。そのため、苦労して許可を取得した従来の特定保健用食品は『個別許可型特定保健用食品(個別許可型特保)』となり、そこに規格基準型・疾病リスク低減表示・条件付きを加えた4種類の食品の総称が特定保健用食品という形です。

ところが、特定保健用食品許可一覧表 – 消費者庁(エクセルファイル)を見ていると、『再許可等特保』という表示があるではありませんか!! しかも、これが結構多い。この再許可等特保とは、一体全体どのようなトクホ製品なのでしょうか?

『再許可等特定保健用食品(再許可等特保)』とは?

以前にご説明した通り、基本的にトクホは個別許可型で、たとえシリーズ品であっても、味や形状が違えばトクホを名乗る事は出来ません。何故なら、原材料や製法が違って来るからです。

ただ、全く同じ製品で商品名だけが変わる場合は話は別です。それをまた一から審査するというほど馬鹿馬鹿しい事はないでしょう。そこで、その場合は、特別な審査なしに、新しい商品名でトクホを取得出来るというルールがあります。それが『再許可等特定保健用食品』、通称“再許可等特保”です。勿論、商品パッケージには、こんな大人の事情を記載する必要はなく、従来通り堂々と『トクホ』や『特保』と謳えます。

また、申請している会社の社名が変わった場合も同様です。例えば、特保ガムの「リカルデント」を発売している「モンデリーズ」は、当初「キャドバリー」という社名でしたから、トクホ許可を持っているのは、このキャドバリー」だった訳です。しかし、2013年に社名変更され、以後、モンデリーズのパッケージでリカルデントを販売する事になりました。そこで、再許可等特保になったという訳です。

さらに、この再許可等特保、全く同じ成分でフレーバーだけを変更する場合にも利用する事が出来ます。そこで、ヤクルトが出す人気の飲むヨーグルト「ジョア」では、マンゴー味やゆず味など、期間限定のフレーバーをリリースする度、再挙か等トクホを取得しているのです。

ただ、以前のブルガリアヨーグルトの場合、トクホを取得している製品には他のフレーバーはなく、脂肪0や鉄分配合など、成分や製法が変わるものばかりですから、これも利用出来ないという訳です。

トクホに更新の必要性や取り消しはあるの?

再許可等特保は、一度取得した許可を取り消され、改めて申請されたというような怪しげな商品ではありません。何しろ、トクホが取り消されること自体、ないに等しい事なのです。それを聞いて、
“えっ、それこそ危ないじゃん!!”
と思わず突っ込んでしまった私に管理栄養士の友人は、
“それが現実だから恐ろしい!”
と含み笑いしていました。

トクホに更新システムはない!

トクホと一口に言っても、実際には条件の異なる4つの種類がある訳ですが、いずれにせよ、取得するには一苦労でしょう。ただ、一度取ると更新する必要がないという大きなメリットがあると彼は言います。そして、更新の必要がなければ、取り消される心配もない訳で、正に取ったもの勝ちなのだそうです。

でも、国家が認める健康食品たるもの、そんな甘い事でいいのでしょうか? もし、本当に取ったもの勝ちというような世界なら、人気が出たところで品質を落とし、利益をとことん追求する事だって出来る訳じゃないですか? その結果、私たち消費者は、健康効果0に近いものを高いお金を出して買わされることにもなりかねません。そこはやはり、定期的に品質管理をするくらいの事は最低限やっていただきたいものですよねぇ!?

許可を取るのは大変だけど、取ってしまえば楽ちん

国が食品の三次機能に関する研究の結果をもとにトクホ制度の設置を検討し、実施に至った1987年から1991年と言えば、日本は正しくバブル期のまっただ中。誰もが裕福で、今のような世知辛い世の中ではありませんでしたから、何かにつけて甘かったのでしょう。一見、実に素晴らしい日本のトクホ制度なのですが、よく見ると、かなり隙間だらけ。特に、許可を取るのは大変だけど、取ってしまえば後は楽ちんという部分は否めません。

確かに、書面上は、安全性や有効性に関する新たな知見が出た場合には30日以内に届け出する事という規定は設けられています。とは言え、義務とはなっていないのです。さらに、新たな知見が出た時ですから、故意かどうかは別として、気が付かなければそれまでです。

事実、多数のトクホを取得している大手サプリメント会社は、そのうちのいくつかの製品の関与成分が基準値を満たしていない事、さらに、全く入っていないことに気付いていましたが、2年間も素知らぬ顔で販売していました。最終的には業者側から自首し、それは悪質だと、トクホの監督庁である消費者庁は激怒!! たちまちトクホ取り消しとなり、後に許可条件を満たしていない商品をトクホとして販売したのは「景品表示法」の優良誤認にあたるとして、5,000万円を超える課徴金納付命令を出しています。

ちなみに景品表示法とは、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という法律で、消費者を強引に引きつけたり、故意に惑わすような商品やサービスの品質・内容・価格等の表示を規制するものです。本体よりおまけの方がはるかに高価だというような景品をむやみやたらと付けたりする事も制限しています。そして、たとえトクホの認可は受けていても、実際にはそれに見合う内容を持たない品をトクホとするのは、これに違法しているという訳です。

これからは『トクホ』取り消しもあるかも!?

先の日本初のトクホ取り消しが確定したのは2016年で、比較的最近の話題ですから、そう言えばと思い出された方も多い事でしょう。ですが、この時、一度許可を出した製品には無関心という消費者庁が激怒出来る筋合いなどないという見解を出す専門化も少なくありませんでした。

という事で、この騒動をきっかけに、消費者庁はようやく重たい腰を上げたのです。施行から四半世紀以上もたって今さらながらという気がしないでもありませんが、これからは、第三者機関で許可を取得した時と同等の試験を行い、そこで出た関与成分の分析結果を1年に一度報告する事が義務付けられるのだとか・・・。また、安全性と有効性だけでなく、相互作用や品質麺での新たな知見が出た場合にも報告が必要になるそうです。

さらに、抜き打ち検査もするというから面白い。なんでも、消費者庁が定期的に無作為に選んだトクホ製品を自腹で購入。その市販品を第三者機関で分析してもらい、結果を一般にも公表するとともに、気になる場合には再検査も検討すると言います。これにより、ようやく私たち消費者は、本当に信頼出来るトクホに出会えるのではないでしょうか?

『栄養機能食品』ってなあに? 『トクホ』と、どこが、どう違うの?

トクホこと『特定保健用食品』は正真正銘の健康食品です。極端に言えば、トクホ以外のサプリメントなどを健康食品とは容易に呼べないのかも知れません。ただ、日本には「栄養機能食品」だの、「栄養補助食品」だの、「機能性表示食品」だのと、トクホ以外にも健康維持や増進効果を期待出来そうな食品が多数存在します。ではでは、これらはトクホと、どこが、どう違うのでしょうか?

『栄養機能食品』とは?

1991年のトクホの設置により、一件落着したかに見えた日本の健康食品論争。しかし、その直後にバブルがはじけ、日本列島は大きく変わります。若者たちは就職氷河期と呼ばれる冷酷な時代に置かれ、中高年もまた、リストラの嵐にさらされる事となりました。こうなると我が身が資本、体力なしには生き延びられません。

しかも、バブルの頃の贅沢三昧や不摂生な生活がたたり、成人病も増加。人々の健康意識が高まり、ベジタリアンやヘルシー志向などという言葉も定着しました。それに伴い、減塩やオーガニックを謳う食品が普及したのもこの頃なら、サプリメントが日常生活に入り込んで来たのもこの頃。様々な健康食品が出回り、怪しげなダイエットサプリなども珍しくなくなってしまったのです。

「栄養機能食品」の誕生!

今でも多種多様のサプリメントを愛用している人は少なくありませんが、実は私たち人間に本当に必要不可欠な栄養素は限られています。しかも、その中には、水を飲むだけで取り込めるものもあり、所謂栄養バランスを整えるという事を考えた時、普段の食生活から不足しがちになるものは、それほど多くはありません。また、たとえ必須栄養素が含有されていたとしても、その量や質に問題があれば役に立たない事になるでしょう。

ところが、すでにトクホが導入され、大々的に体調整備効果が謳えなくなった今、人々の健康志向を誘惑し、一般食品であるサプリメントなどを売るには、成分をアピールして興味関心を持ってもらうよりしかたがありません。という事で、ビタミン豊富だの、ミネラル豊富だのという事が盛んに訴えられるようになった訳です。

そこで、またまたどげんかせねばと国が乗り出しました。そして2001年、『栄養機能食品』という新たな食品分野が設置されました。これにより、日本の食品は、特定保健用食品 or 栄養機能食品 or 一般食品という形になった訳です。

『栄養機能食品』とトクホとの違いは?

栄養機能食品とは、体内での合成が難しいミネラル類、あるいは、水に溶けやすく、中々必要量を確保出来ない水溶性ビタミンなど、普段の食生活だけでは不足しがちになる特定の栄養素のみを補給するための食品です。トクホで言えば規格基準型に値し、特定の成分に限られますが、規定量含んでいれば、『栄養機能食品』と表示出来ます。たとえばビタミンCだと、1日あたりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた下限値である35mgを満たしていて、且つ、上限値である1000mgを超えていなければ、厚生労働省や消費者庁の認可を受ける必要なく栄養機能食品として販売出来るのです。

また、疾病リスク低減表示特保ではNGとなる複数の有効成分のアピールも可能。その場合、成分ごとに栄養機能食品としての表示をしなければなりませんが、これはマルチビタミンやミネラルサプリにおいては宣伝効果大だと言えます。

なぜ、そんなに簡易なのかと言うと、トクホは健康増進法で管理されているのに対し、栄養機能食品は食品衛生法で管理されているから。その証拠に、容器包装に入れられた一般消費者向けの加工食品及び生鮮食品が対象とされています。そうなると、トクホ以上に、あくまでも薬効性を持たないものと見ていいでしょう。そこで、トクホとは異なり、厚生労働省の審査を受けていない事を明記する事が義務付けられています

しかし、その一方で、トクホと同じように、特定の疾病や症状が改善するものではない事やバランスの良い食生活を促す表記もしなければなりません。さらに、
栄養機能食品における栄養成分の名称とその栄養成分が持つ機能、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分の量が栄養素等表示基準値に占める割合
1日あたりの摂取目安量と摂取方法、摂取上の注意事項、調理又は保存方法
など、14項目の必須事項を8ポイント以上の文字で明記する必要があります。

『栄養機能食品』にはどんなものがあるの?

栄養機能食品は、その性質がら、やはりサプリメントと呼ばれているものが目立ちます。ビタミン剤やミネラル剤と呼ばれるものです。エーザイの「チョコラBB」シリーズやアサヒグループ食品の「ディアナチュラ」シリーズなどは、その代表格と言えるでしょう。しかし、実際には、伊藤園の「ビタミン野菜」や明治の「ハイレモン」、さらにはヤクルトの「タフマン」など、飲料やお菓子、そして、本格的な栄養ドリンクまで、様々なジャンルがあります。ならば、どのような栄養成分が栄養機能食品として認められているのでしょうか?

栄養機能食品の許可対象となる栄養素と規定量・効果効能

現在、栄養機能食品の許可対象となっているのは、脂肪酸1種類、ミネラル6種類、ビタミン13種類の合計20種類の栄養素です。それぞれの規定含有量と謳える効果は以下の通りです。

○「n-3系脂肪酸」・・・下限値0.6g・上限値2.0g
皮膚の健康維持を助ける栄養素

○「亜鉛」・・・下限値2.64mg・上限値15mg
味覚を正常に保つのに必要な栄養素
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素
タンパク質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素

○「カリウム」・・・下限値840mg・上限値2,800mg
正常な血圧を保つのに必要な栄養素

○「カルシウム」・・・下限値204mg・上限値600mg
骨や歯の形成に必要な栄養素

○「鉄」・・・下限値2.04mg・上限値10mg
赤血球を作るのに必要な栄養素

○「銅」・・・下限値0.27mg・上限値6.0mg
赤血球の形成を助ける栄養素
多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素

○「マグネシウム」・・・下限値96mg・上限値300mg
骨や歯の形成に必要な栄養素
多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素

○「ビタミンA」・・・下限値231μg・上限値600μg
夜間の視力の維持を助ける栄養素
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB1」・・・下限値0.36mg・上限値25mg
炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB2」・・・下限値0.42mg・上限値12mg
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB3(ナイアシン)」・・・下限値3.9mg・上限値60mg
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB5(パントテン酸)」・・・下限値1.44mg・上限値30mg
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB6」・・・下限値0.39mg・上限値10mg
タンパク質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB7(ビオチン)」・・・下限値15μg・上限値500μg
皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンB9(葉酸)」・・・下限値72μg・上限値200μg
赤血球の形成を助ける栄養素
胎児の正常な発育に寄与する栄養素

○「ビタミンB12」・・・下限値0.72μg・上限値60μg
赤血球の形成を助ける栄養素

○「ビタミンC」・・・下限値30mg ・上限値1,000mg
皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素

○「ビタミンD」・・・下限値1.65μg・上限値5.0μg
腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素

○「ビタミンE」・・・下限値1.89mg・上限値150mg
抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素

○「ビタミンK」・・・下限値45μg・上限値150μg
正常な血液凝固能を維持する栄養素

参考栄養機能食品とは – 消費者庁(PDFファイルが開きます)

『機能性表示食品』ってなあに? 『トクホ』と、どこが、どう違うの?

『トクホ』が分かって、『栄養機能食品』が分かりました。後は『機能性表示食品』さえ知れば、健康食品とは何者かという謎は解明出来そうです。ところが、出た結論は意外にも、健康食品はないというものでした。そのくせ、「認定健康食品」なるものがあると講師の管理栄養士は話します。

「機能性表示食品」とは?

1991年にトクホが制定され、その10年後の2001年に栄養機能食品が制定された事により、日本の健康食品は随分明確化されました。とは言え、トクホの取得は困難で、栄養機能食品として販売出来るのは、指定の栄養成分を一定量含有しているものだけです。特に後者は、主にビタミン剤かミネラル剤になってしまう部分は否めません。

ですが、それ以外にも、私たち人間の体に恩恵をもたらせてくれる成分は多数あります。例えば食物繊維豊富なグリーンスムージーなどは、乳酸菌や規定量のビタミンは入っていなくても、便秘解消に一役買ってくれる可能性はあるでしょう。さらに、脂肪の吸収を抑える作用も期待出来ます。ならば、そこだけは大々的にアピールしてもいいんじゃない!? という事で、そうした特定の機能だけを認め、表示を許す事にしたのが『機能性表示食品』です。2015年に設置されました。

『機能性表示食品』とトクホや栄養機能食品との違いは?

『機能性表示食品』は、条件付き特定保健用食品に若干似ているところがあるかも知れません。良質な乳酸菌配合なら、腸内環境を整えるとか、コラーゲン配合なら、肌の保湿を保つとかといったように、具体的な部位を示し、そこに対する効果効能を表示出来ます。つまり、その食品の持つ機能性を堂々とアピール出来る訳です。

しかも、栄養機能食品とは異なり、発売の60日前までに消費者庁長官に、
・食品関連事業者に関する基本情報
・安全性の根拠に関する情報
・機能性の根拠に関する情報
・生産・製造及び品質の管理に関する情報
・健康被害の情報収集体制
が、きちんと届け出されています。即ち、発売元が安全性や科学的根拠に基づき、責任を持って販売する事で国が認めた食品という事になるでしょう。

ところが、これらの届け出に際し、トクホの場合は自らの実験データが必要不可欠となります。たとえ規格基準型や条件付き特保であっても、最低限の実験をし、審査を受けなければならない訳ですが、機能性表示食品においては、わざわざ自分たちで実験する必要がないのです。科学的根拠を示す既存の論文や文献があれば、それを使って新制する事が出来ます。

その代わりに、トクホのように、
・腸内環境を整えます。
・肌の水分を保ちます。
などと断言する事は出来ません。

・腸内環境を整える事が報告されています。
・肌の水分を保つ事が報告されています。
というように、あくまでも過去の実験データに基づく機能性である事を明記するのがお約束です。

ですが、届け出無用の栄養機能食品よりは、その正体は確かで、消費者庁の出す機能性表示食品届け出一覧(エクセルファイル)というのもあります。また、気になる食品の詳細情報を機能性表示食品の届出情報検索で調べる事も可能です。

『機能性表示食品』の表示は結構うるさい

健康食品に関する規制の経緯としては、トクホの次に作られたのが栄養機能食品です。しかし、内容的には、トクホに続くのが機能性表示食品、そして、その後に付くのが栄養機能食品だと言っていいでしょう。そのため、栄養機能食品に義務付けられている表示事項は14項目でしたが、機能性表示食品には、

  1. 機能性表示食品である旨
  2. 科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性
  3. 栄養成分の量及び熱量
  4. 一日あたりの摂取目安量あたりの機能性関与成分の含有量
  5. 一日あたりの摂取目安量
  6. 届出番号
  7. 加工食品の場合は食品関連事業者の連絡先・生鮮食品の場合は食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び連絡先
  8. 機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨
  9. 摂取の方法
  10. 摂取をする上での注意事項
  11. バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言
  12. 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項
  13. 疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨
  14. 加工食品の場合は、疾病に罹患している者、未成年者、妊娠を計画している人を含む妊産婦及び授乳婦に対し訴求したものではない旨
  15. 疾病に罹患している者は医師、医薬品を服用している者は医師または薬剤師に相談した上で摂取すべき旨
  16. 体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨
  17. 生鮮食品の場合は保存の方法

と、17項目もあります。その規定は結構うるさいのです。

参考「機能性表示食品」って何? – 消費者庁(PDFファイルが開きます)

日本に健康食品はありません

我が国の健康食品について、国を上げて考えられるようになって30年、今では口に入るものは薬か食品か。そして、食品は、一般食品か、特定保健用食品か、栄養機能食品か、機能性表示食品かという事になる訳です。ちなみに、一般食品以外の3つは総称して『保健機能食品』と呼ばれていて、多少なりとも健康食品としての要素を持っていると見ていいでしょう。

ただし、よく耳にする「健康食品」や「栄養補助食品」、「機能性食品」というジャンルの食品は存在しません。サプリメントの和訳が栄養補助食品だという見方もありますが、これもアバウトな話。トクホマークや栄養機能食品、あるいは、機能性表示食品の表示のないものは、全て一般食品です。

健康食品はありませんが、『認定健康食品』ならあります

そう、日本には「健康食品」なる食品はないのです。ただし、『認定健康食品』というのは存在します

この認定健康食品というのは、健康食品のあり方が問題視されるようになった1980年代、いち早く何らかの対処をするために国が売って出た苦肉の策の一つだとも言えるでしょう。本格的な研究調査が行われていたさなかの1985年、当時の厚生省は「財団法人 日本健康・食品協会」の設置を許可。そこで、厚生省の始動による健康食品の規格基準を設定し、それに基づく認定制度を開始したのです。そして、合格した商品は、「認定健康食品」として、「JHFA」マークが添付出来る事となりました

この認定は、30年以上たった今でも健在です。医学界や栄養学界の専門家で構成された「認定健康食品認定審査会」によって、日々どんどん世に出て来る健康食品が検査されています。その内容も、時代の流れとともに見直され、徐々に厳しくなって、今では規格成分は勿論、細菌の有無とその分析まで行われていますから、脱落する商品も少なくありません。だからと言って、販売出来ない訳ではありませんし、この審査を受ける義務自体がないのが現状です。けれど、JHFAマークがあるかないかというのは、健康食品を選ぶ上での一つの目安になる事は間違いないでしょう。

現在、JHFAマークの添付されている健康食品は→認定健康食品一覧表(PDFファイルが開きます)
どこかで見た事あるような、聞いた事あるような商品がズラリとラインナップされています。今、自分が飲んでいるサプリメントが入っていれば、思わずほっとするのではないでしょうか? そう、健康食品は安心して摂取出来るものでなければ、意味がありません。そして、トクホであるとかないとかというより、まずは適正に選び、適正に飲食する事が何より大切。加えて、決して過度な期待を抱かない事も大事でしょう。

最後に

そもそも、大半の食品は一般食品。さらに、栄養機能食品も、機能性表示食品も、健康補助食品も、所詮は一般食品と同じ食品衛生法で管理されている飲食物なのです。そういう意味では、やはり真の健康食品と言えるのは、健康増進法の許可のもとで世に出されるトクホだけで、トクホマークを付けた大根やマグロにお目にかからないのも納得です。ただ、肉や魚や野菜が持つ効果効能は、私たち人間が生命維持に必要とする一次機能。これがあってこそ、二次機能による食べる楽しさを得られ、それらがあるからこそ、三次機能による健康維持や増進が期待出来るという事を忘れてはならないでしょう。
“そうそう。俺の飲み代も忘れるなよ!”
と、講師を務めてくれた管理栄養士の友人が笑っていました。

○今回の講師
田中正広(53歳)
メジャーリーガーではありません。大阪市内の某総合病院で管理栄養士をしています。
高校卒業後、出身地の京都で中規模のアパレル会社に就職。配送部に配属され、近畿一円を走り回っていましたが、4年後に倒産。今度は潰れないところに就職したいと思い、求人誌を見ていたところ、大学病院の調理補助の仕事を発見。ここなら失業する事はないだろうと応募しました。運良く採用されたものの、職場は怖いお姉さんばっかり。日々煽られ、とうとう専門学校に通って栄養士の資格を取る羽目になりました。でも、お陰で今があるので、感謝しています。
自宅は今も京都市内。思えば、トクホが施行された頃からずっと恋人募集中です。

<ライター:健康通(けんこうどおり)>

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