明日葉にはカルコンという特有の成分が含まれていることがわかっています。カルコンは明日葉からしか効率よく摂取することができない成分で、他の野菜や山菜では代用がきかない貴重な栄養素です。
そんなカルコンには、どんな効果・効能が期待できるのでしょうか?
がんの増殖や転移を抑える
がんは正常細胞の遺伝子が傷つけられ、がん化した細胞が増殖して大きくなったものです。
カルコンには、がん細胞のDNA合成を阻害したり、がんが作る血管新生を抑制したりしてがんの増殖や転移を抑える作用があることがわかっています。
エイズウイルスの増殖も抑制
カルコンによって増殖が阻まれるのはがん細胞だけでなく、エイズウイルスであるHIV(ヒト免疫細胞)の増殖も抑えられることがわかっています。
エイズはHIVに感染しただけでは発症せず、HIVの増殖が進んで免疫力が低下したときにさまざまな合併症を発症します。そのため、HIVの増殖を食い止められればエイズの発症を遅らせることができると考えられます。
その他の作用
カルコンには他に、アレルギー抑制、潰瘍・血栓の予防、抗菌作用などが期待できます。
フラボノイドであってフラボノイドではない
明日葉には9種類のカルコンが含まれていますが、その中でも特に多量に含まれているのが、キサントアンゲロールと4-ヒドロキシデリシンで、明日葉が持つ作用はこの2つのカルコンによるところが大きいことがわかっています。
カルコンは植物の色素成分で、フラボノイドの前駆体(フラボノイドに変化する前の段階のもの)です。通常、植物に含まれる黄色い色素はほとんどがフラボノイドの形をしており、明日葉のようにカルコンの状態でとどまっているのは非常にまれです。したがって、カルコン自体が天然の物質として自然界にはほとんどない珍しい成分といえます。
他の野菜では代用できない
カルコンのキサントアンゲロールや4-ヒドロキシデリシンは明日葉に多量に含まれていますが、明日葉以外の植物では2~3種類からしか見つかっておらず、しかもその量はごく微量です。したがって、これらのカルコンはほぼ明日葉特有の成分とみなされています。
一般的に植物に含まれている成分は幅広くさまざまな植物に含まれているので、ある野菜が嫌いでも他の野菜から必要な成分を摂るという代用がききます。しかしカルコンは明日葉からしか摂取できないので、明日葉を摂るしかないのです。
なぜ明日葉にカルコンが多く含まれているのか?
明日葉がカルコンのような強力な成分を持っているのは、それだけ厳しい自然の中で生きてきたからかもしれません。
自然界には、紫外線やウイルス、細菌、点滴となる虫や動物、風雨、自然災害などの外敵がいます。そういう環境の中で種を繁栄させていくためには、自分で自分を守る必要があります。動物のように逃げることができない植物は、自分自身が作り出す物質で身を守るしかないのです。
山菜のアクや柿のしぶ、松ヤニ、アロエの苦味のほか、植物が持つ色素もすべて自分の身を守るために長い時間をかけて得た力で、そういう成分の作用は、厳しい自然の中で生きている植物ほど強くなると考えられます。
カルコンも、明日葉が自然界で種を絶やさず生きていくために長い時間をかけて獲得した物質にちがいありません。
明日葉特有の成分であるカルコンは明日葉からしか効率よく摂取することができない物質で、他の野菜やでは代用がきかない貴重な栄養素です。
がん細胞やHIVの増殖の抑制やアレルギー抑制、潰瘍・血栓の予防、抗菌作用などを期待したい方は、カルコンを明日葉から効率よく摂取しましょう。