最近では明日葉を自家栽培する人も多く見られるようになっていますが、霜や直射日光はNG、化学肥料には弱い、水はけがよくないと根腐れが起こるなど、ハードルは高めです。
しかも、「今日摘んでも明日には芽を出す明日葉」と言われるものの、実際はそれほど生長が早いわけではないので、気長に挑戦するくらいの気持ちが必要です。
種子から育てる方法、苗の状態から育てる方法の2つを紹介します。
ベランダでもOK! 明日葉を容器で種子から育てる方法
まず最初は、ベランダでも栽培できるよう、プランターや鉢で種子から明日葉を育てる方法をご紹介します。
苗から育てるより難しい!?
栽培成功率だけを考えると、種から育てるよりも根のついた苗から育てるほうが楽といわれていますが、それだけに種から育てて成功すれば喜びもひとしおというものです。
明日葉の種まき時期は、基本的には12~1月がよいといわれています。種が採れるのが12月なので、その直後に種まきをします。ただし、種が越冬することになるので十分な注意が必要です。
発芽をよくするためのポイントと育て方
明日葉の種の発芽率は、発芽の条件を揃えていても50%以下といわれています。そこで、発芽を少しでもよくするためのポイントと育て方をご紹介します。
明日葉は根が十分に育つため、プランターまたは鉢で栽培する場合は深めのものを用意しましょう。
- 半日~1日水につけておくか、水で湿らせたガーゼか脱脂綿の上に置くかして、種の水あげを行ないます。
- 土は腐葉土を下地とし、黒土と砂の混じったものを上土とします。
- 2の上に1をばらまきます。ただし種の上には土をかぶせません。
- 土や種が乾燥すると発芽しないので、十分に水やりを行なってから、保湿と乾燥防止のための敷きワラまたは新聞紙をかぶせます。
- 発芽するまで敷きワラの湿り気を保ちます。発芽には1~2ヶ月かかります。
- 発芽したら、苗が5~6cmに育ったところで間引きします。30cm程度のゆったりとした株間を設けないと根が十分に育たず、小ぶりになってしまいます。
- 肥料は苗が根づいて1~2週間経ったころに与えます。肥料は新聞紙を焼いた灰、ごくごく少量の油かす、鶏糞などで十分です。化学肥料は絶対に与えてはいけません。
- 背の高さが30cmくらいになったら若葉の食べごろです。ここまでくれば根がしっかりついたと考えてよいでしょう。
- 若葉はどんどん摘んで食べましょう。若葉を摘まないと茎や葉が大きく硬くなり、食感が落ちます。
明日葉の寿命は?
明日葉の寿命は約3年といわれていますが、上手に管理すれば4~5年持ちます。花が咲いたら寿命のサインですが、今度は種が採れるため世代交代が可能です。
鉢・プランターでも露地栽培でも、根がついた明日葉から実る種は同じ土地で育てることが容易といわれていますが、これは種の中の遺伝子に土地の情報が盛り込まれるからかもしれません。
明日葉の種はどこで手に入る?
明日葉の種は大きな種苗店ならたいてい手に入りますが、明日葉の自生している土地に行って採取してくるという方法もあります。
伊豆七島では明日葉が全域に自生しているので、探すのも簡単です。また、地元の人にいろいろと教えてもらうことができるのも利点です。
ただし、他人の家の庭先や私有地から無断で取ってくるなどのマナー違反は絶対にやめましょう。
明日葉の種の発芽率が50%以下と低いことから、自家栽培をするなら苗の状態から育てるほうが楽といわれています。それだけに種から育てて成功すれば喜びもひとしおですし、自宅で明日葉が採れるようになればいつでも手に入って便利です。
鉢やプランターでベランダ栽培もできるので、気長にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
明日葉の苗を庭に植えて本格的に育てる方法
明日葉の自家栽培は、種から育てるより苗の状態から育てるほうが楽といわれていますので、種から気長に根気よく育てていく自信がないという方にはこちらの方法がおすすめです。
ただし、苗から育てる場合も失敗しないためのコツがありますのでご紹介していきます。
明日葉の苗の選び方
明日葉の苗は20cm以下の小さめのものを利用しましょう。すでに大きくなっているものだと、せっかく栽培に成功してもその年で寿命が来てしまうことがあります。
植えつけに適した時期は春(3~5月)か秋(10~11月)です。夏は暑さでダメージを受けやすく、冬は寒さでやられてしまうので、冬の間はビニールハウスで育てるなどの防寒対策が必要です。
明日葉の苗の植え方・育て方
- 半日か一日、根を水に浸けて水あげをしておくと根付きがよくなります。
- 下土には腐葉土、上土には黒土と砂が混じったものを使用します。庭栽培の場合は、植えつけ場所を十分に耕して深さ30cmほどの穴を掘り、そこに腐葉土を入れます。
- 肥料を加える場合は少量の油かすや鶏糞などの自然のものとし、化学肥料は絶対に避けます。掘った穴に肥料を入れ、その上に土をかぶせてから苗を植えます。
- 苗の根についた土はなるべく残したまま、茎が2~3cmほど土中に隠れるくらいにして埋めます。
- 空気が入ると根付きが悪くなるので、土と茎の間から空気が入らないように手で軽く押さえておきます。
- 植えつけ直後は十分な水分を与えておき、その後の水やりは、土の手触りがしっとりした状態を保つ程度にします。
- 青々とした若葉が出てきたら食べごろです。そのままにしておくと葉や茎が太く固くなってしまうので、どんどん摘んで食べましょう。
寒冷地での栽培におすすめの越冬法
明日葉は東北地方や甲信越地方などの寒い地域でも上手に栽培することが可能です。こうした地方の人たちは、ビニールハウスを使って明日葉を越冬させているといいます。
ホームセンターなどで売っている一坪程度のビニールハウスを利用し、冷たい風や霜、雪などに注意すればかなり厳しい環境下でも育つようです。
ビニールハウスが無理でも、藁束で根や茎を覆って防寒対策をすれば氷点下になっても根や茎が保護され、短期間ならば氷点下でも根が枯れることが少なくなります。
最もおすすめの方法は室内での栽培です。陽当たり・風通し・温度・湿度などに注意し、あまり暑くならない場所で育てれば安全です。したがって、室内で育てたい場合は最初から鉢やプランターに植えつけるほうがいいでしょう。
その他の注意点
明日葉の苗を植える場所が落葉樹の周辺である場合は、自然に腐葉土ができているのでわざわざ腐葉土を加える必要はありません。
水のやりすぎは根腐れの原因になります。特にベランダ栽培の場合は土の量が限られているため注意しましょう。
明日葉の自家栽培は、種から育てるより苗の状態から育てるほうが楽といわれていますので、初心者の方にはこちらの方法がおすすめです。
寒冷地にお住まいの方でも、ビニールハウスや藁束などで防寒対策をすることで立派な明日葉を育てられます。
よくやってしまいがちな「水のやりすぎ」には気をつけましょう。