食の知識&健康

なぜ牛乳が最強の熱中症予防なのか? 暑熱順化で脱水症状を防ぐ方法

暑ければ汗を掻く! これを私たちは当たり前の事だと思いがちです。
しかし、赤道直下の国を訪ねると、汗だくになってふらふら歩いているのは観光客ばかり。地元の人たちは、さほど汗も掻かず、涼しい顔で走り回っているではありませんか!!
もちろん、熱中症などまるで無縁という感じです。

流石は暑さに慣れているのだと言えばそれまでですが・・・
太陽がギラギラ照りつけていても汗がだらだら出ないのは、やっぱり不思議。どう考えても肉体改造しているとしか思えません。となると、私たち日本人も、同じように肉体改造できれば、発汗が抑えられる上、熱中症の心配もなく、快適な夏を送れそうです。

体温調整のメカニズム

そもそも暑いと汗が出るのは、体温を下げるためにほかなりません。私たちは、お母さんのおなかの中にいる時から、常に心臓を動かし、脳を動かしてきました。もちろんこの作業は、あの世に旅立つ直前まで続きます。そして、その間ずっと熱を作り出し、心臓が止まった瞬間、人は徐々に冷たくなっていくのです。

この自らの力で熱を生み出す能力を「産熱(さんねつ)」と呼び、たとえ寝たきりになっても途絶える事はありません。さらに、基礎代謝や筋肉運動、あるいはホルモンの働き掛けにより、人体内では常に様々な熱が産み出されています。例えば、食事をすれば胃や腸が活発に動きますが、こうした消化器官の活動によっても熱は発生するのです。

つまり、どんなに冷血に見える人でも生きている限りは温かく、放置しておけば、その体温はどんどん上昇する一方! それこそ、手を触れるとやけどするような危ない男性や女性になります。そこで、それを防ぐために、「放熱」という能力も兼ね備えているという訳です。

放熱は主に末梢神経の働きによって皮膚表面に血液を流し込み、表皮の毛細血管を広げる事で行われますが、それでも追い付かないようなら、汗腺も開き、汗として放出します。汗を掻けば、その汗が冷え、冷却効果も得られますから、一石二鳥という訳です。お風呂で暖まると汗が出ると同時に、身体が赤みを帯びるのは、まさに典型的放熱状態を示しているんですね。

逆に体温が下がりすぎると感じた時には、毛細血管を収縮し、皮膚からの放熱を防ぎ、それでも間に合わなければ筋肉を運動させる事で産熱します。寒いと顔が青白くなるのは皮膚表面の血流が少なくなるため、鳥肌が立つのは表皮が引き締められて毛穴が堅く閉じられるためです。いずれも保温に勤しんでいる状態で、ブルブル震えるのは、筋肉を必死に運動させ、産熱している状態なのです。

暑熱順化が熱中症を防ぐ

産熱を止める事の出来ない私たち人間は、上手に放熱や保温をしながら生きています。それが自動体温調整システムです。となると、年中猛暑の国にいる場合、血流を抑えて皮膚や毛穴を引き締める必要はありません。むしろ、常に毛細血管を弛緩し、出来る限り表皮からの放熱で体温調整することが大事になります。何故なら、汗を掻く事は水やミネラルを含む大事な体液を放出する事で、脱水状態を招く可能性があるからです。

何を隠そう、この脱水状態こそが典型的熱中症であって、動力源であるミネラルバランスが崩れるために発症します。つまり、暑いからと言って、多量に汗を掻く事は危険なのです。そこで、赤道直下の国に暮らす人たちは、毛細血管からの放熱を主とし、良質な汗を必要最小限掻けるような身体構造になっています。従って、私たち日本人も、そうした肉体作りができれば、熱中症のリスクを軽減できる訳です。

勿論、日本人だって、暑い真夏になれば、それなりに表皮の毛細血管を緩め、放熱できる体勢を取ってはいます。ただ、半年もすれば、寒い冬を迎える事を考えると、ずっと緩めぱなしという訳にはいきません。そこで、季節に応じて調整する事が必要になるのです。この冬モードから夏モードへの切り替えを「暑熱順化」と呼び、これがいかに迅速に出来るか! それが今年の夏をいかに元気に乗り切るかを左右すると言っても過言ではないでしょう。

暑熱順化は手動で・・・

確かに、年中夏とか、年中冬という国に住んでいれば、気温への順化は容易です。というより、殆ど必要ありません。また、昼夜の寒暖差の激しい砂漠に住んでいれば、時間帯ごとに巧みに暑熱順化と寒熱順化を繰り返すというスゴ技も身に付けられるのでしょう。

ところが、季節ごとの気温差は大きくても、1日の気温差が小さい日本にいると、夏になったら暑さ対策、冬になったら寒さ対策をすればいい訳で、身体はのんびり構えてしまいがちです。そのため、短時間で冬モードから夏モードに切り替えるという事ができません。1週間から10日も掛けて、ゆっくりと調整していきます。そして、順化が完了すると、ようやく、早めにしっかりと良質な汗を掻き、無駄な水分やミネラルの放出を防ぎながら体温調節できるようになるという訳です。

ただ、その順化が始まる前に猛暑に見舞われてしまうと、とてもじゃないが適応できず、対応もできないという状態に陥ってしまいます。実はこれが、「体がまだ暑さに慣れていないので、熱中症には十分気を付けましょう!」などと、この時期によくテレビやラジオで言われる理由です。

実際、気温だけでなく、強い日差しや高い湿度も熱中症を招きます。つまり、「高温」・「多湿」・「日射」、この3つの条件が揃った時が最も危険という事で、梅雨の中休みや梅雨明け直後はドンピシャなのです。おまけに、暑熱順化ができてないとなると、まさしく『熱中症になるべくしてなる』と言えるでしょう。事実、毎年のごとく、救急車で搬送される熱中症患者の数は、7月半ばから下旬に掛けてが最も多く、暑熱順化が完了する8月に入ると徐々に低下していくと言われています。

だったら、梅雨入り前から暑熱順化すればいいではないかと思われるかも知れませんが、それが容易にできる人がどのくらいいるか? 少なくとも、自然に身体の暑熱順化が始まるのを待っているようでは話になりません。何故なら、長年にわたり、日本人は梅雨の時季を使って暑熱順化をおこなってきたからです。

もっとも、地球温暖化という言葉がなかった時代は、日本の梅雨と言えば、毎日どんよりとした曇り空で、しとしとと長雨が続くものでしたから、強い日差しが照りつけ、30度を超える真夏日になる事はめったにありませんでした。そこで、適度に高温多湿となるこの時季を利用して暑熱順化する事で十分対応できたものと思われます。

ところが昨今は、梅雨でも猛暑日になる事は珍しくなく、順化ができないうちに、身体が暑熱ストレスを抱え、暑さに慣れる事を恐れてしまう傾向が高まっているのです。また、梅雨でもエアコンの冷房機能やドライ機能を使い、快適な空間で生活する事が多いため、いつまでたっても暑熱順化できないまま夏本番を迎えてしまう人も少なくありません。

そこで、タイミングを見計らって、自主的に暑熱順化することが重要になります。早い話、これまで自動で行ってきた暑熱順化を手動で行うしかないという事です。そして、その方法は簡単! 毎日30分間しっかり歩いて、300mlの牛乳を飲むだけです。“えっ、水やスポーツドリンクじゃなく、牛乳なの?”っと驚かれるかも知れませんが、真っ白な牛乳こそ、私たちの命の源ともいえる真っ赤な血!! 身体に多大なる恩恵をもたらせてくれる最強の栄養ドリンクなのです。

そこで、牛乳パワーのすごさと、暑熱順化に効果的な飲み方を、次にご紹介しましょう。

最強の熱中症予防ドリンク『牛乳』。暑熱順化に成功し、明るい夏を

熱中症のリスクを軽減するには、まずは肉体改造!
という事で、前半は体温調整のメカニズムと暑熱順化について考えました。そこで後半では、その手法を具体的にご紹介したいと思います。

牛乳は暑さに強い肉体を作る

今や熱中症は実に身近な疾患で、困った事に、夏の風物という気すらします。しかし人は本来、外気温が上昇しても、センサーが感知し、脳が指令を出し、それを自律神経が関係部位に伝えれば上手に放熱し、体温調節や水分保持のできる生き物なのです。心身が健康なら、大事に至る事はないはずですが、そうも行かないのが温帯気候で暮らす日本人の弱点だと言えるでしょう。

そこで、まずは体に暑くなった時の適切な対処法をインプットする事が必要で、それが「暑熱順化」です。そして、その暑熱順化に大きく貢献するのが牛乳です。牛乳は骨太の強い肉体を作るだけでなく、暑さに強い肉体も作ってくれるのです。

前半で学んだように、理想の放熱方法は表皮に多量の血液を流し込み、毛細血管を広げて熱を出す方法です。そのため、血液が不足していると、思うように出来ません。さらに、汗を掻こうにも、その汗の材料となるのが血液ですから、とにかく血が足りない状態では暑熱順化は困難なのです。

となると、とにかく血を増やす事が先決で、その血液を作ってくれるのが牛乳の中に含まれる良質なタンパク質「ホエイ」と糖質です。

ホエイは正式には「乳清(にゅうせい)」と呼ばれる液体で、牛乳の脂肪分と、カゼインと呼ばれるリンタンパクを取り除いたものになります。ヨーグルトを長時間放置しておいた時、表面に何やら黄色っぽい水がたまっている事に気が付くでしょう。実は、その水こそがホエイで、確かに味も素っ気もないものですが、素晴らしい栄養価と効果効能を持つものなのです。

筋肉だけじゃない、血を作るのもホエイプロテイン

牛乳から脂肪を取り出すとバターになり、カゼインを取り出すとチーズになりますが、この時残るのが「ホエイ」です。ただし、脂肪分とリンタンパクという美味しい部分を取り除いたただのタンパク質水ですから、捨ててしまう人は少なくありません。しかし、ホエイの主成分は、「ラクトグロブリン」・「ラクトアルブミン」・「ラクトフェリン」などで、いずれも素晴らしい効果効能をもたらすプロテインなのです。

特にラクトフェリンは昨今、免疫力を高めたり、内臓脂肪を減らしたり、美肌効果もあるという事で、老若男女を問わず人気を集めるタンパク質です。さらに、ホエイは毎日の摂取が義務付けられている必須アミノ酸を全て含有している上、ビタミンや乳酸菌も豊富で、これさえ飲んでいれば美容と健康維持ができてしまいそうですが、暑熱順化についてのみ言えば、注目したいのは、人体への浸透力と造血力です。

ホエイはプロテイン、それも良質なプロテインですから、筋肉の増加や強化への恩恵がもてはやされがちですが、実は、血液に含まれるタンパク質「アルブミン」の原料にもなっているのです。このアルブミンは水分を引きつける吸引力を持ったタンパク質で、その濃度が上がれば、血管内の水分量が増え、末梢の毛細血管まで十分な血流を送る事ができます。結果、放熱力がアップするという訳です。

実際、30分間気合いを入れて歩いた後に300ml程度の牛乳を飲むと、200mlから400mlの血液が増え、体温調節力が20%から最大50%まで上昇すると言われています。ただし、あくまでも運動した後に牛乳を飲めばという条件付きで、寝起きに1リットルの牛乳を飲んでも、これだけの効果効能は得られないでしょう。

牛乳はスポーツドリンク

朝食時や湯上がりに牛乳を飲む人は多いですが、運動した後に牛乳を飲む人は案外少ないのではないでしょうか?
スポーツの後はやっぱりスポーツドリンク! そう思われがちですが、そのスポーツドリンクの代用として牛乳を用いるのがミソなのです。

というのも、ホエイの最大の特徴は浸透力の良さ。つまり、私たちの身体が急速に吸収できるという事です。そして、取り込んですぐ、筋肉や血液の材料として使えるのも長所で、肝臓が躍起になってアルブミンを生成しているところに持ち込むと、待ってましたとばかりに量産します。そして、その肝臓のアルブミン剛性が最も盛んなのが、ややきつめの運動をした後なのです。

しかも、ホエイは吸収が早い反面、効果の持続性が短いという短所を持ち合わせています。また、限りなく母乳に近い高栄養価を持つ物質だけに、使いこなせなければ脂肪として蓄積されてしまうので要注意! 運動直後の30分から1時間程度の間に使い切れれば、2時間後には血となりますが、それが出来なければ、贅肉にもなりかねません。なので、熱中症対策においては、運動と牛乳はワンセットだと思っておいてもいいくらいなのです。

しかも、牛乳にはスポーツドリンクとほぼ同量の塩分も含有されているため、代用なんてとんでもない。まさしく最強の熱中症予防ドリンクです。ただ、牛乳を飲むと下痢をするという方は少なくなく、その場合には、同等の成分を持つヨーグルトを代用される事をお薦めします。また、カロリーを気にされる方は、低脂肪牛乳を飲むといいでしょう。

人気のホエイプロテインサプリメントは?
実は熱中症予防には、ホエイと適度な糖質と塩分、このバランスが一役買うのです。それを考えると、市販のホエイプロテインサプリメントでは十分な効果効能は期待できないかも知れません。やはり白い牛乳を飲んで真っ赤に燃える! こうして暑い夏を乗り切るのが一番だと思われます。

プラス、夏本番を迎える前に、汗もしっかり掻いておきましょう。
人は学習する生き物だけに、汗を掻けば掻くほど、上手な発汗、良質な発汗を確立していきます。そこで、しっかり歩いてたっぷりの汗を掻き、その後に冷たい牛乳をクーッと一杯!これで暑熱順化はバッチリです。
<ライター:健康通(けんこうどおり)>

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