食の知識&健康

キノコの不思議 〜 キノコを知ってキノコ嫌いを克服しよう!

“香りマツタケ味シメジ”のシメジの正体

秋の味覚だと思いがちのキノコですが、原木栽培の高級品は、実は春にも旬を迎えます。この辺りが流石は人工栽培と言ったところでしょう。ただ、天然ものしかない菌根性キノコは、正真正銘、秋の風物です。ところが、そんな秋の風物であるはずの菌根性キノコたちにも魔の手が襲いかかり、今や怪しげな陰が見え隠れしているのです。

ホンシメジの正体

昔から“香りマツタケ味シメジ”と言われ、マツタケ以上に美味しいとされて来たシメジですが、やっぱり味も香りもマツタケの方が優る。きっと、多くの方がそう思っておられた事でしょう。実際、私たちが食べていたシメジは、シメジではないのですから、それが本当なのです。しかも、近頃“私が本物のシメジ「ホンシメジ」だ!”と名乗っているシメジも、やっぱりホンシメジではないと言われています。ではでは、シメジの正体は何者なのでしょうか?

実は「『シメジ』というキノコ自体は存在せず、元々シメジ科のシメジ属に属する食用キノコ全般の総称でした。ただ、マツタケと同じようにアカマツの木の根に多く生息している菌根性キノコのシメジは、「グアニル酸」・「グルタミン酸」・「アスパラギン酸」といったうまみ成分となるアミノ酸が実に豊富で、食感もよく、絶品の味覚を持つ秋の風物とされていたのです。

それに対してマツタケは、「マツタケオール」と呼ばれる強いアルコールを多量に含んでいて、強烈な香りを放ちます。これまた何とも食欲をそそる美味な香りです。そこでいつしか、香りを楽しむのならマツタケ、味を楽しむのならシメジというように、2つのキノコは特別扱いされるようになりました。もちろん、その裏側には、どちらも人工栽培出来ない貴重な菌根性キノコだった事があったのでしょう。

そう、“香りマツタケ味シメジ”のシメジは、マツタケと同じ金鉱製キノコで、天然物しか出回っていませんから、秋以外に食べる事は出来ません。しかも、マツタケに負けず劣らずの高級キノコで、どちらか一方を選択しなければならない苦渋の決断の難しさを表現したのがこの句だったのです。

という事で、「シメジ」は元々“シメジ”で通っていました。ところが、マツタケに縁遠い庶民の味方として、突如おかしな輩が登場したから大変!! アカマツやコナラの木に自生するシメジこそがマツタケのライバルとされる本物のシメジであると認識させなければなりません。そこで、『ホンシメジ』という新たな品種名が作られたという訳です。ちなみに、「シメジ」と認められているシメジ科シメジ属の食用キノコには、他に「ハタケシメジ」や「シャカシメジ」も含まれます。

昔のシメジ

ではでは、冷蔵庫に入っているシメジは何者なのかと言うと、これまたシメジ! ただし、ブナの倒木に生育する事が多いところから『ブナシメジ』と呼ばれるようになった腐生性キノコで、シメジ科シロタモギタケ属に含まれます。はるかいにしえの時代から日本にも当たり前のように生息していたキノコでしたが、1970年代に本格的な人工栽培が始まり、大量生産出来るようになった事で食用キノコとしての地位を確立しました。

ところが、実際には日本には、それより前からシメジが庶民派キノコとして出回っていたと言います。ただ、当時のシメジは、傘が平べったい半円で、折り重なるように生えていたとの事。っそれはどこからどう見てもホンシメジでもない、ブナシメジでもない、ヒラタケでしょう。そうなんです、高度成長期の頃のシメジはまさしくヒラタケで、ホンシメジとはほど遠いものでした。

とは言え、ヒラタケも捨てたものではありません。実は傘が平べったくなるまでには時間が掛かり、早期に収穫すると丸みを帯びているのです。そこで、上部に丸みを残したまま傘を開くホンシメジに見えなくもない。そのお陰で、シメジとして流通されていたものと思われます。

ですが、後にさらに綺麗に丸みを帯びた傘を開くブナシメジが現れ、ヒラタケを上回る日持ちの良さをアピールしました。すると、今ほど流通技術や空調設備がしっかりしていなかった小売店では大歓迎!しかも、ヒラタケ科ヒラタケ属のヒラタケにとってシメジという名は芸名みたいなものですが、ブナシメジは元々ホンシメジと同じシメジ科のキノコなのです。たちまち消費者の支持も集め、ついにシメジとしての地位を確立したという訳です。

そこで考えられたのが“ホンシメジ”という呼称。元々勝手にシメジと名乗っているヒラタケと区別するために出て来た名前でしたが、これをブナシメジに付ければさらに支持率を上げられるという事で、いつしかブナシメジのパッケージには“ホンシメジ”と表記されるようになりました。それと同時に、ヒラタケは名実ともにヒラタケに戻され、今では本来の平べったく傘を開いたものが出回っています。

今のシメジ

ブナシメジが普及して40年以上たった今、ヒラタケをシメジと呼ぶ人は随分少なくなりました。けれど、多くの日本人はブナシメジをシメジと呼びます。ただし、これを問題視した林野庁が1991年に勧告を出して以来、大手メーカーのブナシメジには“ブナシメジ”と正当な品種名が明記されています。

ところが、20世紀に入って再び“ホンシメジ”と名乗るキノコが百貨店の青果売り場などで見受けられるようになりました。しかも、ホンシメジとブナシメジ、2種類のシメジが並んでいる事も珍しくはありません。ただ、このホンシメジ、よくよく見ると、ブナシメジと同様、石突きのところにおがくずが付いていたりするではありませんか!! これは腐生性キノコのライフスタイルを象徴する光景です。

となると、やっぱりこれも新たな偽ホンシメジかと言うと、何とも微妙。確かに菌根性キノコのホンシメジでない事だけは確かです。けれど、シメジ科シメジ属のキノコの中には、シイタケやエリンギなどと同じ腐生性キノコもあって、畑で廃棄物処理をしながら生育していたところから命名された『ハタケシメジ』などはその代表格だといえるでしょう。しかも、ハタケシメジなら、長年培って来た原木栽培と菌床栽培の技術をうまく組み合わせれば十分人工栽培出来る事が分かりました。そうして登場したのが今のホンシメジだという訳です。

という事で、マツタケと並ぶ憧れの高級キノコ「シメジ」は、ヒラタケからブナシメジ、そしてハタケシメジへと、徐々にホンシメジに近付いて来ました。ただ、マツタケと同じく、菌根性キノコのホンシメジが人工栽培で庶民派キノコになるまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。やはり当分の間は、ハタケシメジやブナシメジ、そしてヒラタケを美味しく食べるのが賢明だろうと思われます。

でも、それでいいんです。確かに味の面では、ホンシメジは、うまみ成分となるアミノ酸「グアニル酸」を100gあたりに158mgも含有していて、ブナシメジの5倍近い数値を誇っています。けれど、ハタケシメジもまた、アミノ酸豊富で且つ、その他の栄養素については大差がなく、ヒラタケも同様、様々な効果効能を持つ食材です。さらに、ヒラタケの中には、マツタケやホンシメジと同じくらい希少価値が高く絶品の美味しさを持つ原木栽培のものが存在します。そうなると、香りマツタケ味ハタケシメジや香りマツタケ味ヒラタケも大いにありという事になるでしょう。

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