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欠乏すれば命にかかわる脂質

日本は豊かな国で栄養失調はごく特殊な状態でしか起こりません。悩みといえば肥満であり、多くの人がダイエットに夢中です。そしてダイエットの宿敵が誰あろう脂肪、油です。現代日本では、いかに脂肪分を少なくするのかが食生活の大きな目標になっています。

しかし、ここへ来て新栄養失調という言葉が脚光を浴びるようになってきました。高齢者の不適切な食生活が原因の低栄養状態や、まちがったダイエットからおきる低栄養のことを指します。

ダイエットの宿敵といえば脂肪です。いかに脂肪の摂取を少なくするかが肥満解消、健康の鍵というような表現が巷を席巻しています。しかし、脂肪は体内に入ると脂質となり、生体がいきていく根幹の役目をはたす重要な栄養素です。

脂質は、常温で液状になる「油」と、固体になる「脂」があります。油には、ごま油や菜種油などの食物油と、魚の油があります。脂にはヘッドやラード、バターのような動物由来のものがあります。一般的に動物性油脂は有害、食物性や魚介性油脂は有益のような印象をもたれていますが、本来はどちらも適度に摂取する必要があります。

これらの油脂類を脂溶性の栄養素(ビタミンA・D・E・Kなど)と一緒に摂取すると体内に吸収しやすくなる効果があります。また、脂肪を加えることにより食品の喉ごしをよくしたり、コクをあたえて美味しくしたりする効果もあります。

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脂質の働き

摂取された脂質は小腸で分解吸収されて一旦肝臓に貯蔵されます。その後、必要に応じて体内に送られてさまざまな働きをします。

脂質には単純脂質と複合脂質があり、単純脂質はグリセリンと脂肪酸が結合したグリセリドが主成分となる脂質で、主にエネルギー源として使用されます。複合脂質とはリン酸や糖を含む脂質で細胞膜の構成等に使用されます。

また、脂肪酸にも様々な種類があり、飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸)、多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸)、多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)などがあり、それぞれが重要な役割を担っています。

  • 脂質はエネルギー源となります。脂質は消化分解されて9kcal/1gのエネルギーとなり、これはどの栄養素よりも効率のよいものです。エネルギーとして使用されなかった脂質は中性脂肪として体内に蓄積されます。中性脂肪は分解されるとエネルギーと共に水分も出来るので、適度な中性脂肪を蓄えていることは人間が生きるためには非常に重要なことです。
  • 脂質は体温を保持します。また、体脂肪となり体温を守ります。体脂肪は、脂肪不足になったときにはエネルギー源としても使用されます。
  • 脂質は細胞膜の成分となります。
  • あらゆるホルモンの成分となり神経細胞機能維持に作用します。
  • 脂溶性栄養素の吸収を助けます。脂溶性ビタミンなどと一緒に食べると体内への吸収がスムーズになります。
  • 体内の流れをスムーズにし、関節の動きをスムーズにしたり、腸内の便の流れをスムーズにして排便を助けます。
  • 水分の蒸発を防ぐので体の潤いをまもります。

脂質欠乏症

通常の食生活をしていれば脂質は欠乏することはありませんが、極端なダイエットをしていると欠乏してしまうこともあります。脂質が不足すると、脂溶性栄養素であるビタミンA・D・E・Kの吸収がうまくいかず様々な不調を引き起こします。重篤な症状では網膜色素変性症や棘状赤血球や赤血球失調症などの要因になります。

また、エネルギー不足で疲労感が激しかったり、体温を保つことができなくて低体温になったりします。さらに、細胞膜が弱くなり、血管がもろくなったり皮膚炎をおこしやすくなります。これに加えて体が乾燥してしまうので皮膚の荒れやしわが目立つようになります。

神経系の機能に問題が出ることがあります。脂質の不足は、体力不足だけではなく無気力などメンタル面の症状が現れることがあります。うつ状態の人は脂質欠乏の傾向が多いのです。

脂質過剰症

脂質過剰症としてもっとも分りやすいのが肥満です。肥満は運動不足につながりやすく、運動不足が肥満を加速する悪循環に陥りやすいのです。運動不足はロコモティブシンドロームの原因になります。また、脂質が血管の内壁にたまると高血圧、血栓などの要因になり脳や心臓の梗塞につながります。

※ ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは、「運動器の障害」によって「要介護となる」リスクの高い状態になることです。

脂質を多く含む食品

一般的な成人の一日に必要なカロリーは約2,000kcalで、そのうちの20-25%を脂肪で摂取するのが健康的だといわれています。つまり500kcal分の脂肪分が適正な摂取量になります。1gで約9kcalのエネルギーが得られるので50-55gの脂肪分を食べればいいわけです。

ケーキやクッキーなどの洋菓子を食べると簡単に10-20gはクリアしてしまいます。トーストのバターでも厚塗りにすれば10gぐらいは軽くクリアです。実際にこれに食事の食材に含まれる脂肪分や揚げ油や炒め油などを考え合わせると、やはり脂肪分摂取の管理はけっこう難しいことだということがわかります。

また、リノール酸、α-リノレン酸(体内でDHA,EPAに変換)、アラキドン酸などの脂肪酸は人間の体内で生成できないので食品で摂取しなければなりません。これらの脂肪酸を必須脂肪酸といいます。

  • リノール酸はコーン、大豆、ごま、マヨネーズ、なたね油などに多く含まれます。
  • α-リノレン酸は、えごま、くるみ、マヨネーズ、大豆などに含まれます。
  • アラキドン酸は鶏卵、豚、さば缶、いわし缶などに含まれます。

また、DHAやEPAも食品で摂取することができます。DHAは青魚、うなぎ、筋子などに、EPAは、あんこう、やつめうなぎ、鮭などに含まれます。

こう見ていくと、必要摂取量が少ない割には必須脂肪酸の種類が多いのがわかります。一日の食事の中でこれらの脂肪分を全部摂取するのは難しいので、一週間単位で必須脂肪酸を含む食品をバランスよく食べるように心がけましょう。

脂肪分の代謝を促進するもの

一般的に栄養成分を阻害する物質は有害とされがちですが、脂肪分に関しては阻害成分をうまく使いこなして余分な脂肪分を無害化する工夫をしましょう。

大豆サポニンには強い抗酸化効果があるため、脂質の過酸化を抑制し代謝を促進します。そのため、血中脂質を低下させ血栓や動脈硬化を防ぎます。豆腐、きなこ、豆乳等に多く含まれています。

特定のアミノ酸は、脂肪を燃焼させて代謝を促進します。キュウリ、セロリ、ニンジン、黄パプリカ、大根に含まれるリパーゼ、とり肉やえびに含まれるアルギニン、いかに含まれるプロリンなどです。

唐辛子に含まれるカプサイシン、生姜に含まれるジンゲロン、海藻に含まれるヨウ素は脂肪を燃焼させて代謝を促進させます。

きのこ類に含まれるキノコキトサンは小腸での脂肪の吸収を阻害します。

脂肪を適度に吸収できる食習慣

空腹の時間が長いと人間の脳はできるだけエネルギーを備蓄するように働くため脂肪の吸収率が上がってしまいます。規則正しい食事で正常な吸収率を保持しましょう。

有益な油だからといって、その油を追加で毎日摂取しつづけるとカロリーオーバーしてしまいます。今摂っている脂肪分を置き換える方法がおすすめです。

最後に

脂質は欠乏すると体力不足、気力不足、低体温などがおき、極端な欠乏症は生命にかかわります。ヨーロッパでは痩せすぎのファッションモデルを起用することを法律で禁じる国も出てきました。肥満が世界的な健康問題である一方で、やせ崇拝的な美意識も問題になっています。
食事はあくまでバランスが大切です。

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